顔面けいれん
顔面けいれん外来
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顔面けいれんとは?
顔面けいれんとは、けいれんしている顔を視診することによって、ほとんどの場合診断することができます。人前での緊張、ストレス、疲れ、強い閉眼などの顔面筋の運動などで誘発されやすく、初めのうちはあまり気にならない程度でも、ひどくなってくると、相当悩んだ末に外来に受診されることが多いようです。たとえば、営業職、受付をしている人などは、顔がピクピクしていると、まともに相手と目を合わせて話しをすることができず、仕事にも支障を来すことになり、誰にも相談できず、人知れず一人で悩んでいることが多く、中には、鬱状態になっている患者もみられる程です。
通常、一側の眼周囲のぴくつきから始まり、徐々に、頬や口元にまでぴくつきが広がるという病気です。突然、起こることもあり、そのような場合、びっくりして救急車で病院に受診した方もいるとのことです。何年も前のことですが、ある女優さんが撮影中に、突然、顔面けいれんを起こして救急車で病院に搬送されたという記事がありました。最終的には、手術を受けられてよくなったとのことですが、手術を受けるまで、何年も悩み続けて、仕事が出来ない状態が長期に渡り続いたとのことです。顔がぴくぴくするだけで、どうして救急車で病院に行く必要があるのか、体したことはないにと思われるかもしれません。しかし、女優のように人前に顔を見せることを職業とされている方にとって、顔がぴくぴくしてしまうことは、もう仕事が出来なくなってしまうかもしれないことになります。これでは、仕事ができないどころが、精神的にもストレスとなります。気にしない人にとっては、何でこんなことで悩むのかと理解できないかもしれません。
症状
典型的な顔面けいれんは一側の下部眼輪筋のけいれん、いわゆる目がピクピクする症状から始まり、徐々に、眼の周りから口元にまで広がります。さらに進行すると、首筋や耳、額にまで広がることがあります。逆に、10%以下ではありますが、口元から始まり、顔全体に拡がってくることもあります。通常一側で、両側性はきわめて希です。また、長期に渡りけいれんが続いている場合、けいれんが起きてないときには顔面麻痺を起こしていることもあります。
原因
原因としては、血管、腫瘍等により、顔面神経が圧迫されることにより起こります。
顔面けいれんとまぎらわしい疾患
MRIによる診断が有用で、MRIにより神経と血管の関係を確認できます。もし、顔面神経の側に血管をみつけることができれば、殆どの場合、この血管が神経を圧迫していると考えられます。
画像診断
MRIによる診断が有用で、MRIにより神経と血管の関係を確認できます。もし、顔面神経の側に血管をみつけることができれば、殆どの場合、この血管が神経を圧迫していると考えられます。
治療
治療としては、比較的簡単にけいれんを止める方法として、ボツリヌストキシン注射という方法があります。これは、けいれんしている部分の筋肉にボツリヌストキシンを注射して、筋肉を麻痺させることにより、けいれんを止めるという方法です。顔面けいれん以外に、斜頸、ジストニアといった病気にも使用されています。その他、病気ではありませんが、美容外科では、顔のしわ取りとしても広く使用されています。メリットとしては、外来で簡単にでき、注射後2日位で効果がみられることです。また、簡単なしわ取りも兼ねて使用している医師います。デメリットとしては、ボツリヌストキシンの効果が3ヶ月位でなくなることです。よって、効果が切れるとその都度、注射を続けなければならないことです。また、あまりにも頻回に注射を続けると、筋萎縮により、顔が少し非対称になることがあります。また、作用が強すぎると、顔が麻痺するため、眼が閉じなくなったり、口元から水、食物がこぼれたりすることがあります。それでも、その効果は実証済みで、正しく使用すれば、簡単かつ安全に効果を期待できるので、広く使用されています。
根治的治療を行うのであれば、手術となります。手術用顕微鏡を使用して神経を圧迫している血管を神経から剥離して、再び血管が神経を圧迫することがないような位置に固定します。ただし、これは、三叉神経痛の場合も同じですが、入院して全身麻酔下に行う手術ですから、外来で簡単に行うことができることではありません。 その他、内服薬として、クロナゼパムという薬がありますが、眠くなる上に劇的効果は期待できません。下図の十字部分がボトックスの主な注射部位です。