認知症
もの忘れ外来
03-3810-1111 脳神経外科外来 内線2151
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最近、このような症状はありませんか?
同じことを言ったり聞いたりする
人と会う約束や日時を忘れる
物をなくしたり、置き忘れたりする
物の名前が思い出せなくなる
今まで出来ていたことができなくなった
計算の間違いをするようになった
怒りっぽくなった…。
「もの忘れ」から認知症へ
脳は、人間の活動をほとんどコントロールしている司令塔です。それがうまく働かなければ、精神活動も身体活動もスムーズに運ばなくなります。「最近もの忘れがひどくなったな」と自覚されている方も多いのではないでしょうか。「それを年齢のせいだろう」と簡単に結論づけてはいませんか?日常生活に支障がなく、記憶、決定、理由づけ、実行などのうち一つの機能に問題のある状態は認知症の前段階である軽度認知障害(Mild Cognitive Impairment;MCI)と言われており、MCIの半分の人が約5年の経過で認知症へ進行すると言われております。厚生労働省は現在日本にはMCIの患者さんが862万人存在すると発表しており、これは65歳以上の4人に1人が認知症とその“予備軍”となる計算で、決して珍しい病気ではないのです。
早期発見の重要性
ひとたび認知症と診断されると、治療や投薬により認知症の進行を遅らせることは出来ても、完治することはありません。従ってMCIの状態といち早く診断し、予防対策を行うことがとても大切です。65歳以上の高齢者のうち認知症を発症している人は推計15%で、2012年時点で約462万人に上ることが厚生労働省研究班の調査で明らかになっています。認知症の患者さんと取り巻く周囲の環境は社会問題化しており、一人でも多くの認知症へ移行させない努力が我々に求められております。またMCIと診断された患者さんの中には慢性硬膜下血腫、正常圧水頭症、脳腫瘍、脳梗塞など脳神経外科にて治療が可能な疾患が含まれている可能性があります。こうした背景から脳神経外科医が「もの忘れ」を自覚している患者さんに科学的に検査を行い的確な診断をつけ、少しでも患者さんおよびそのご家族の苦痛を改善させる可能性が出来ると考え、「物忘れ外来」を開設することとなりました。もの忘れを自覚している患者さんには様々な言語、思考の障害がみられることもあります。これらは高次脳障害と呼ばれるもので、脳腫瘍の手術後、頭部外傷の後遺症、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血などの後遺症などでもみられることもあり、こういった患者さんの「もの忘れ」の評価、診断も行っていく予定です。最近もの忘れがひどくなってきたな、と自覚されてきた方、身内のもの忘れが激しくなってきた、などの心当たりがある方は物忘れ外来を受診することをお勧めします。
認知症と診断されても
上述のように、認知症と診断された場合、根治は困難ですが、症状の進行を食い止めたり、一部のテストの結果を改善させたりすることは可能です。認知症には大きく分けて4つの病型が知られています。
- アルツハイマー病:認知症の多くの部分を占めている疾患で65歳以上に多い疾患です。聞いたこと、言ったことをすぐ忘れ、同じことを何度も繰り返して言う、計算が出来なくなる、などの症状が主になります。MRIなどで両側側頭葉の萎縮がみられます。
- レビー小体型認知症:は認知機能の低下に加え、幻視、手の震え、歩行障害、前かがみの姿勢をとる、などの症状が特徴的です。脳の萎縮は比較的軽度です
- 前頭側頭型認知症:は最初のうちはもの忘れはあまり見られませんが、行動のパターン化(決まった時刻に同じことをする、決まった食べ物を毎日食べるなど)がみられます。
- 脳血管性認知症:もの忘れに加え、小刻み歩行、動作緩慢、排尿障害などがみられます。レビー小体型認知症と似ていますが、MRIで脳の表面の萎縮、白質(深い部分)に斑点のように脳梗塞がみられます。動脈硬化と血圧の変動が原因といわれ、脳梗塞に準じて内服治療が行われます。アルツハイマー病についで多い認知症の原因疾患です。
その他稀な症例もありますが、多くはこの4型に分類されます。
ここでもの忘れ外来の診察の流れについて説明致します。
- 受診を希望される患者さんは下記に連絡し、診察予約をお取りください。なるべく一人での受診ではなくご家族の方とご来院下さい。診察室ではまず問診を行い、クイズ形式による簡単なテストを行います。このクイズ形式の検査はミニ・メンタル・ステイト検査(MMSE)と呼ばれています。
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次に行う検査はCT, MRIなどです。これにより脳の形の変化を検査します。この段階で先程説明した慢性硬膜下血腫、正常圧水頭症、脳腫瘍などの外科的治療を考慮しなければならない疾患が発見されることもあります。これらの疾患は治療により物忘れが警戒することが多く、治療可能な認知症(treatable dementia)と言われております。
アルツハイマー病のMRIを示します。両側の側頭葉の脳のしわが目立つ(萎縮)ことがお分かりになると思います。
正常MRI
アルツハイマー病のMRI
上の正常のMRIに比べ脳のしわ目立ち、側頭葉の海馬も委縮している
- その他、必ずしも必須ではありませんが、脳の血流低下部分を確認するSPECT(スペクト)、腰から脳脊髄液を採取する髄液検査、脳波などを組み合わせることもあります。
- 診断がついた時点で薬物の選択、ご家族へのアドバイスを行っていきます。 お身内の方で冒頭に掲げたような症状を呈していらっしゃる方がいる、もしくは自分で悩んでいる方はご相談下さい。一人ひとりの患者様に十分時間をかけて診察し、問題解決に努めます。
東京女子医科大学東医療センター 脳神経外科 もの忘れ外来(要予約)
火曜日午前中9:00-12:00(事前に外来にお問い合わせ下さい)
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