小児頭部外傷
当院には2007年1月から2011年4月までの間に15歳以下の頭部外傷の患者数は1978人でした。ひと月に40人近くの患者さんが来られていることになります。ほとんどは、いわゆる「こつん」外傷で、検査も治療も必要ありません。頭蓋骨骨折や頭蓋内出血などの病変がみられた割合はわずか2%でした。
症状
呼んでも起きない、左右どちらかの手足が動かない、けいれん、頭から血を流している、などの場合はすぐに救急車を呼ぶべきです。吐き気やおう吐が続く場合、「たんこぶ」が大きい場合には、小児では頭蓋骨・頭蓋内病変を伴っていることがみられますので、受診を勧めます。乳児では、外傷後普段と違って不機嫌が続く場合も受診を勧めます。逆に、普段通りで機嫌よく、ミルクの飲みもよい場合には受診の必要はないでしょう。
年齢
特に気をつけなくてはならないのは首の座る前の乳児です。このころは、頭が体と比べて大きく、頭を打った時の手足の防御反応も十分ではありません。さらに、成長が著しい時期であるため、脳の発達と頭蓋骨の発達がアンバランスとなって、頭蓋骨と脳との間に隙間ができて、頭蓋内出血を起こしやすくなります。大人にとって低いと感じるところでも、子供にとっては2階くらいの高さのことがあります。おおよそ1m以上の高さから落ちた場合には受診を勧めます。